信濃の疏水

諏訪地域

県下屈指の高原観光湖 白樺湖(しらかばこ)

白樺湖

小県郡長和町方面から大門峠を上りきると、車山高原の東方に風光明媚な景色が広がる。

美しい自然に包まれるように遊園地やスキー場、リゾートホテルが立ち並ぶ中心に「白樺湖」がある。観光湖として名高い白樺湖は、実は、茅野市池の平土地改良区が管理する人工の農業用ため池である。

昭和初期、茅野市北山地籍の水田では、水源となっていた音無川の水温が低く、度々壊滅的な冷害に見舞われていた。食糧増産を目指した時代、米の安定生産と新たな産業の展開を目的として、昭和15年から6年の歳月をかけて築造されたのが白樺湖である。

農業用水を温め水田へ供給する『温水ため池』の役割とともに、魚の養殖事業が始められた人造湖は、完成当時『蓼科大池』と名付けられ、後に『白樺湖』に改名されている。誕生によって、標高1000m付近の水田でも安定した稲作が可能となり、さらに、昭和39年に指定された八ヶ岳中信高原国定公園の中核として周辺の開発が進められたため、今では春夏秋冬、人々で賑わう全国有数のリゾート地に発展した。

建設当時に現在の賑わいまで想定していたとは考え難いが、誕生から60有余年を経て尚500haの農地を確実に潤しつつ、観光客を惹きつけ続ける「白樺湖」は地域の人々に守られ、訪れる人々に育てられた県下屈指の地域資源、貴重な土地改良財産である。
2009年2月掲載

白樺湖