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信濃の疏水

諏訪地域

繰越堰がもたらす恩恵 神戸堰(ごうどせぎ)

甲州街道を西に進み長野県に入ると、左手に富士見パノラマスキー場が見えてきます。このスキー場の麓に、小学校の教科書にも取り上げられている「坂本養川」ゆかりの農業用水路「神戸堰」があります。この水路は1792年(寛政4年)に坂本養川をはじめとする先人達の長年に亘る献策により開削された水路で、釜無川支流の程久保川から取水したのち、武智川を横断し、富士見町西山山麓の38haの農地を潤しています。

西山地区は地形的に慢性的な水不足地帯であったので、用水確保は地域の悲願でした。最初は、武智川を樋で渡した1本の水路「程久保堰」として開削されましたが、その後、新堰の開削や取水口の変更が行われ、1805年(文化2年)には武智川横断部を樋から※繰越堰としたことで、程久保川の水は「程久保堰」として、とちの木・木之間・若宮の3集落へ、武智川の水は「神戸堰」として松目・大平・栗生・神戸の4集落へ導水されることとなり、飛躍的に農地の水田化が図られ、現在に至るまで高冷地の水田農業を支えています。

最近では、県営事業により老朽化した水路の部分改修をはじめ、環境に配慮した親水水路やため池周辺の環境整備が行われました。

また水路沿線地域全体を保全・活用する取組も行われており、八ヶ岳を背に神戸堰の水が流れる美しい田園風景が、富士見町を訪れる人々を楽しませています。
2014年5月掲載

◦施設の管理者 富士見町

※ 水量が多い川の余水を、順々に水不足地帯へ送って複数の河川を用水路で結び、その沿線をかんがいする水利システム