信濃の疏水

大北地域

沃野のうた(よくやのうた) 高瀬川右岸幹線用水路(たかせがわうがんかんせんようすいろ)

北アルプスに源を発する高瀬川の右岸地域(大町市常盤、北安曇郡松川村)には、約2000haの農地が広がっています。
高瀬川はかつて「大のあばれ川」と呼ばれる荒れ川で、氾濫が多く、周辺の開発は遅れていました。享保9年(1724年)には200haに満たない農地しかありませんでしたが、主に明治末から戦後にかけて行われた開田事業等により、約10倍に農地が増えました。しかし、農地が増大したにもかかわらず用水路の整備が遅れたため、用水が極端に不足するようになり、多くの水田で6月下旬にならなければ田植えができない状態となりました。
この用水不足に対応するために、昭和38年から14年の歳月をかけ、延長約36㎞の幹線水路の工事が実施されました。(この完成を記念して大町市常盤の国道147号線脇には、ブロンズ農民像「沃野のうた」が建立されています。)また、15路線約37㎞の末端用水路も併せて改修され、これにより用水不足が解消されました。
用水は、主に高瀬川と乳川から取水されていますが、高瀬川にある大出頭首工からの水が主水源になっています。この大出頭首工から流れる水は、池田町広津にある昭和電工㈱広津発電所にも発電用に導水され、農業用水と工業(発電)用水の両方に利用されています。
また、昭和62年から平成10年にかけては、7地区の県営ほ場整備事業が実施され、近代的な農業が営まれています。
この地域には「国営アルプスあづみの公園」などがあり、多くの観光客が訪れます。北アルプスを背景に広がる肥沃な農地の風景は、今年も観光客の目を楽しませてくれるものと思います。
2012年7月掲載

◦施設管理者 高瀬川右岸土地改良区
◦参考文献 長野県土地改良史(平成11年3月)