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信濃の疏水

飯伊地域

人をつなぎ農村の原風景を後世につなぐ 日本の棚田百選 よこね田んぼ

飯田市街地から南へ車で40分ほど走ると、天竜川東側の山間部に手入れの行き届いた棚田が広がっています。飯田市千代地区の「よこね田んぼ」と呼ばれ、農林水産省が認定した
「日本の棚田百選」のひとつです。
開田されたのは、戦国時代から江戸時代といわれており、主な水源を付近の小渓流イタチ川に求め、そのほか湧水を集めては疏水で導き、約3haの斜面に等高線を描くように110枚の美田が拡がりました。その美しい景観は、四季折々に色を変え、訪れる人々の心を魅了しています。
しかし、平成に入ったころから高齢化や農家の減少が進み、全体の4割ほどが休耕田となってしまいました。この状況に危機感を募らせた自治会(現千代地区まちづくり委員会)と環境保全推進協議会は、平成9年に「棚田を千代の財産として引き継いでいこう」と棚田の復活と保全に立ち上がり、平成10年2月に「よこね田んぼ保全委員会」を発足させました。保全委員会では、畦草刈りなど棚田の維持管理を行うとともに、県内外から集まるボランティア「よこね田んぼ守り隊」と一緒に、昔ながらの手作業で行う畦塗り、田植えや稲刈り、案山子づくりやフォトコンテスト、収穫祭などのイベントを開催し、交流を通じて保全に取り組んでいます。
今年からは、田んぼのオーナー制度の導入も決まり、将来にわたって棚田を守っていく仕組みも整いつつあります。
これからも、千代の財産「よこね田んぼ」は、人と人とを結び、感動を共感できる場として、地域を元気にしながら後世に引き継がれていくことでしょう。
2017年4月掲載

•棚田の保全団体 よこね田んぼ保全委員会