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信濃の疏水

北信地域

開田への夢と情熱が結実した 野々海池(ののみいけ)

新潟県と接する栄村の千曲川左岸に広がる水内地域では、昭和の初期、電力開発や鉄道敷設などにより数多く農地が失われ、農業経営が苦しくなっていました。
そのため、「少しでも多くの耕地を、一粒でも多くの米を」と村民は望み、新田開発が悲願となりました。
この切実な願いを実現するため、村の西、標高1020mの高地にある大湿地帯に築堤し水を溜め、これを引水し新田を開く「野々海開拓」が始まりました。
この計画は、136万tを蓄える野々海池の築堤と四路線およそ20㎞の幹線水路を開削し、13団地90haを開田するという壮大なものでした。
工事は昭和24年から、地元住民の手により始まりましたが、3箇所の隧道など難工事が多い上、就労者が少なく、不慣れであったこと、また10月には降雪がある気象条件も重なり苦難の連続でした。
しかし、開田に対する情熱は失われず、昭和30年には野々海池が完成、幹線水路の開削もほぼ完了し、翌年から開田工事が始まりました。この開田工事も、傾斜地がほとんどで、起伏が一様でない複雑な地形のため、数々の苦難がありましたが、昭和40年にすべてが完了しています。
こうした先人の尊い苦労が、現在まで脈々と受け継がれることで、栄村では、高い畔も見事に草刈がされ、水田が美しく管理されています。そして、その水田では、県内でも有数のおいしいお米が育まれています。
2016年1月掲載

◦施設の管理者 野々海水利組合