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信濃の疏水

北信地域

住民有志が復活させた 福島新田(ふくしましんでん)

飯山市東部の瑞穂地籍の山際に広がる福島新田は、美しい水田とともに、眼下に流れる千曲川や、その対岸に連なる北信五岳の斑尾山や妙高山などを一望できる棚田です。映画「阿弥陀堂だより」(2002年公開)のロケ地として知られ、撮影のために造られた「阿弥陀堂」は今も残されており、映画の雰囲気を味わうことができます。

福島新田の開発は飯山藩の許可を得て、江戸時代の寛文8年(1668年)から行われました。急勾配の地形に階段状に造られ、耕作面積をより広くするために段差部分にきっちりと石が積まれており、その石垣の美しさがこの棚田の特長となっています。隣の田への通路には、石垣から突き出した石が階段になるよう造られているなど、先人たちの技術や工夫が随所に見られます。

しかし、この福島新田の棚田も、作業効率の低さや農業者の高齢化などにより、集落から離れた山手の田から荒廃が進んでいきました。

このような中で、平成10年に地元有志により福島棚田保存会が結成され、荒廃した棚田を復活させていきました。そこには、背丈を越す萱の刈り払いや表土の入れ替えなど、大変な苦労があったそうです。保存会による熱心な活動が実り、平成11年7月に「日本の棚田百選」として認定されるまでになりました。

また、平成13年から県営里地棚田保全整備事業により、景観に配慮した石畳の管理道路や石積水路等の整備とともに、新たに親水ため池が整備され、慢性的に不足していた夏場の水も確保できるようになりました。

これからも、地域の宝として、福島新田の美しい棚田が多くの人々に愛されながら引き継がれていくことを願います。
2018年4月掲載

  • 施設の管理者 福島棚田保存会