信濃の疏水

上伊那地域

二つのアルプスを眺む 千人塚城ヶ池(せんにんづかじょうがいけ)

上伊那郡飯島町七久保にある『千人塚城ヶ池』は、農業用ため池としての価値のみならず、中央アルプスと南アルプスを見渡せる眺望と独特な歴史的背景を持つことから、平成21年度に農林水産省の「全国ため池百選」に選定されました。
「千人塚」の由来は定かでないものの、戦国時代に織田信忠軍が伊那に攻め入った戦の際に、戦死者や武具をこの地に埋めたところ、以来悪疫(疫病)が流行、霊の祟りを恐れた巫女が「千九人童子の碑」を建て、以降供養を続けていることによるとも言われています。
池の築造は、当時の戦で滅ぼされた北山城の空堀の一部を利用し、昭和8年に始まり11年に完成しました。用水路とともに補修・改修が繰り返され、平成19年の護岸改修で現在の姿となりました。
ため池は、用水の補給を目的としたものが多いのですが、千人塚城ヶ池は、「温水ため池」(農業用水の温度を上げるために貯水するため池)としての役割も果しています。中央アルプスを源とする与田切川とその支流から取水する農業用水は冷たく、水稲の生育も悪かったのですが、この温水ため池が完成したことで受益地の収量も大きく向上しました。地域の稲作農業の要として、今も約200haの水田を支えています。
池の周辺は、桜やあじさいなど四季を通じ花木の名所として、また、マレットゴルフやキャンプなどレクリエーションの場として、訪れる多くの人々に安らぎと憩い、そして歴史への想いを与えてくれます。
2011年11月掲載

◦管理団体 七久保片桐水利組合