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信濃の疏水

佐久地域

先人の偉業を称える 五郎兵衛用水(ごろべえようすい)

北に浅間山、南に蓼科山を望む佐久平の西方に、広大な美田が広がる。この一帯が美味な良質米として全国にも名高い「五郎兵衛米」の山地であり、この約400haの水田地帯を潤すのが「五郎兵衛用水」である。
五郎兵衛用水は、今から380年ほど前に、市川五郎兵衛真親翁が現佐久市浅科の不毛な原野を水田開発するために、その生涯と私財を投じ、今のような機械力のない時代に人力だけで開削した全長20㎞に及ぶ用水路である。 しかし、先人の血と汗の結晶として完成した水路は、いわば土を固めただけの構造であり、大水や落盤などでしばしば壊れ、維持補修に多大な費用と労力が費やされてきた。このような苦労が江戸時代から近年まで続けられたが、昭和30年半ばから県営事業により大改修工事が行われ、約10年の歳月をかけて近代的な水路に生まれ変わった。 今、安定的に供給されるようになったこの名水が日本屈指のブランド米を生み出す。
春の訪れとともに、田植えの季節がやってくる。これまで連綿と引き継がれてきた「先人の偉業」と「田を潤す清らかな水」への畏敬と感謝の思いを胸に抱いて、今年も米づくりが始まる。
2008年5月掲載

◦H18 農林水産省「疏水百選」に選定
◦H19 五郎兵衛用水土地改良区が「二十一世紀創造運動関東地方大賞」を受賞

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