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信濃の疏水

木曽地域

未来に引き継がれる  下殿用水(しもとのようすい)

下殿用水は、王滝川支流の本洞川上流、中切下地籍から取水、山腹斜面を流下し、旧三岳村役場付近を流れ、三岳小学校下の3haの水田地帯まで2700mの山腹用水路です。

明治10年代の開田政策の時代に「原野や畑をなんとかして水田に換えたい」という村人の熱意によって開削されました。当時の土木技術は現在の機械化された技術とは比べ物にならないもので、作業のほとんどを人力に頼っていました。途中には、急峻かつ堅固な山腹斜面が広がり、開削は困難を極めました。

下流受益地に水を引くために、現在の主要地方道開田三岳福島線の凹部地形区間を木管水路を架ける方法で横断させたそうです。当時の開田への強い意欲を伺い知ることができます。昭和に入り、土管が開発されると、逆サイフォンの技術を用い水路を凹部区間の下に潜らせて横断させることができました。その後、土木技術の進歩により現在はヒューム管を用いています。
2009年11月掲載
農業用水のみならず集落内の防火用水などにも使用される重要な水路です。水路の維持管理には多大な労力を必要とし、先人達のたゆまぬ努力は、現在の「下殿用水組合」に立派に引き継がれています。

今年も、三岳小学校から見下ろす学校田では、農家の皆さんと一緒に農作業に汗を流す子供たちの笑顔を目にすることができるでしょう。
2009年11月掲載

◦ 「下殿用水組合」が中心となり「下殿地区環境保全管理組合」が組織され、農地・水・環境保全向上対策事業に着手し、地域ぐるみで農地や水路の維持管理に取り組んでいます。

◦ 逆サイフォン  水路が河川、湖沼などの低位部や鉄道道路などの障害物を横断する時、水路がそれらの下に設けられ、常に満流する水路。