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信濃の疏水

木曽地域

妻籠宿を流れる石積の水路 地蔵沢水路(じぞうさわすいろ)

南木曽町妻籠地籍には、水田を潤すため明治時代初期に築造された「地蔵沢水路」と呼ばれる農業用水路があります。
木曽川支流の与の洞沢から取水された水は、江戸時代の宿場町「妻籠宿」の町を通過し、受益地である水田へと流れています。この「地蔵沢水路」は、優れた技術を駆使して自然石で積み上げられており、現在も築造された当時の姿のまま保存されています。石積みのため、多くの植物や生物が生息している貴重な水路です。
昭和51年、江戸と京を結ぶ中山道沿いの宿場町として栄えた「妻籠宿」の町並の景観を保存するため、妻籠宿地区保存条例が制定されました。これを機に住民組織「妻籠を愛する会」が建物や構造物について景観に配慮した取り組みを行うようになりました。その一環として「地蔵沢水路」も今までの景観を損なわないように維持管理されています。
宿場町の民家横を流れる水路は、水車も設置され、農業用水としてだけでなく、住民の生活用水にも利用されています。また、清らかな水の流れは、「妻籠宿」を訪れる年間約40万人の観光客を和ませています。
この石積水路が宿場町のすばらしい景観のひとつとして、地域の人々から親しまれ、末永く木曽地域の観光名所として保全されることが期待されます。
2015年12月掲載

◦施設の管理者 下町水利組合