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信濃の疏水

木曽地域

愛知用水へ命の水がめ 牧尾ダム(まきおだむ)

木曽郡木曽町と王滝村の木曽川水系王滝川に位置する「牧尾ダム」(中心遮水ゾーン型ロックフィルダム・有効貯水量6800万t)は、愛知用水(幹線112㎞、支線1012㎞)の水源施設として昭和36年に完成しました。

愛知用水は、岐阜県八百津町から知多半島南端の愛知県南知多町に至る、農業・水道・工業用水の供給を目的とした水路で、農業用水としては、約15000haの農地を潅漑しています。

濃尾平野の東に広がる尾張丘陵と知多半島の人々は、戦前から干ばつによる水不足に悩まされ、安定した農業用水の確保は永年の悲願でした。また、名古屋市を中心とする都市圏では、人口の急増や工業地帯の拡大によって水道や工業用水の需要が急速に高まっていました。

昭和22年の大干ばつを契機に、人々は木曽川の水を知多半島へ導く用水計画の実現に向けて立ち上がり、昭和30年に愛知用水公団(現・独立行政法人水資源機構)が設立されると、旧三岳村・王滝村住民の協力のもと、昭和32年から牧尾ダムと愛知用水の工事が始まりました。工事は海外専門家の技術援助や、優れた土木技術と最新の土木機械により進められ、着工から4年後の昭和36年9月30日、木曽川の水は愛知用水として知多半島まで届きました。

昨年、愛知用水は通水50周年を迎えました。現在では、牧尾ダム水源の森づくりパートナー協定を始めとする様々な上下流交流が行われています。建設当時の関係者の想いを後世に伝えるとともに、今後、さらに「水の絆」が深まっていくことが期待されます。
2012年9月掲載