信濃の疏水

木曽地域

高冷地の稲作を支える 菅平温水ため池(あやめ公園池)

池

「木曽川源流の里」木祖村のやぶはら高原スキー場やこだまの森といったレジャー施設の近くに、「菅大平温水ため池」があります。

近辺の畑地帯では、標高が1000m近い高原の冷涼な気候を利用して、木曽を代表するブランド野菜である「御嶽はくさい」の生産が盛んに行われています。

一方、水稲栽培の歴史に目を向けると、高冷地であることから、農業用水の温度が低く、稲の生育不良の原因となっていました。このため、稲の生育を助けるには、農業用水を温める温水ため池の築造が不可欠となっていました。

昭和48年に、県営土地改良事業でこの温水ため池が築造されると、稲の栽培技術の向上もあいまって、稲の作柄が改善され収穫量も増え、村の農業発展につながっていきました。このため池は、現在、約39haの水田に潅漑しています。

かつて、この辺一帯は、湿地帯で自生のアヤメが多く、「大平天然アヤメ園」と呼ばれ、地元ではとても親しまれていた場所でした。

「菅大平温水ため池」が完成すると、地域住民の皆さんは、自生していたアヤメを株分けして増やしたり、定期的な手入れを行ってきました。この努力により、周囲800mほどの池の周りには、毎年6月から7月にかけて美しいアヤメが咲き誇り、木々の緑が鮮やかな山々と澄んだ水をたたえる池とともに、訪れる人々の目を楽しませてくれます。
2011年7月掲載

◦ 菅大平温水ため池は、周辺にアヤメ園が整備されるなど、適切な維持管理がなされ、美しい景観が保全されていることなどが評価され、平成22年農林水産省の「ため池百選」に選定されました。